旬の人
2017/08/24

【おいしいお話とレシピ】規格外の魚との出会い 「食卓にあがる前の魚たちを、もっと知ってほしい」

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湘南・辻堂のkai's kitchenを拠点に、お魚をめぐる面白い取り組みをなさっている甲斐さん。
知られていなかった魚の豊かなおいしさに親しんで多くの人が笑顔になれば、その延長線上に日本の漁業の変革もある!という熱い思いで、日々規格外のお魚との出会いを提案しています。

 

金曜と土曜の夜だけ開店するお魚ダイニング

ふだんは焼きたてのサンドイッチ・トーストを出すお店をシェアリング。毎週金曜・土曜の夜だけ開店する甲斐さんのお店。
お客さまはメッセンジャーで「どんなお魚が食べたいですか?」「貝は好きですか?」といったやり取りをしながら、お店に来る前からすでにワクワク。
朝獲れの地魚から甲斐さんが目利きして選んだ、「捨てられる魚を活かす」魚料理が堪能できます。

 

豊かな海の幸を、おいしく使い切る

開店と同時に店内に掲示される絵本仕立てのパネルストーリーは、甲斐さん自身がかつて仕事上で交わした会話がもとになっています。

「ミシマオコゼってこんなにおいしいのに、どうして魚屋で見かけないんですか?」
「漁師さんが、捨ててしまうんですよ」

マイナーな魚だから値がつかず売れない⇒売れないから売らない⇒釣れても捨てる。

実はOisixで人気の「ふぞろい野菜」も、最初は農家さんから、これは正規品じゃないから売れないよといわれていたものが多いんです。

「その使い切りサイズのちっちゃいサイズの玉ねぎが、むしろお客さまには喜ばれているんですよ」とか、「バラになってるにんにくは、忙しいお客さまには時短になっていいんですよ」

そんなふうにスタッフが、お客さまが喜んでくださっているお声を産地に伝えてきました。
食材探しのコンセプトが、なんだかちょっと似ています。

 

漁師とお客さまをつなぐ

もともと都内の魚料理店で2年、料理長として立っていた経験を持つ甲斐さん。
当時から、産地に埋もれている未利用魚を送ってもらってはお客さまにお出しして、そのお声を日々、漁師に発信し、伝えていました。
水揚げされた魚を丸ごと買い付けることで、漁師にとっては安定した収入につながり、お店にとっては、珍しい魚を新鮮な状態でお出しできるんですね。

フリーとなり、魚販売のコンサルティング、レストランの魚メニュー監修、お魚料理イベントの企画などで忙しくしている今も、魚屋の売場に定期的に立って、お魚を買い求めるお客さまの声を聞いています。

「家で魚を調理して食べるとき、どんなことで困っているのか知りたくて」

 

お魚が苦手なのは、子どもよりお母さんかも

魚料理で苦労しているお母さんは、多いかもしれませんね。
身を捌いたり、鱗取ったり、骨を取ったり。手軽な切り身ばかりだとレパートリーもマンネリしがち。忙しければついつい、敬遠してしまうこともありそうです。

甲斐さんご自身、子どもの頃は煮魚が「大っ嫌い」だったそう。

「忙しい母親の作る赤魚の煮つけが一番嫌いでした(笑)
 そのせいでごはんが食べられなかったくらい。
 おいしい煮方が分からなかったからだろうなって、今ならそう思います」

甲斐さんが料理の世界に踏み込んだのも、仕事で多忙な母親に代わって晩ごはんを作るようになったことがきっかけだとか。


「煮魚を得意料理にする」ワークショップも地元湘南で展開予定。詳細はこちら

お魚との出会いはさらに幼少時。釣り好きの叔父に見込まれて、一緒に出掛けては夜通し釣りを楽しみ、朝方戻ってきて休みなく道具を片付け、魚を捌き始めるというハードな英才教育で、さまざまな魚とのつきあいを深めました。
生まれ育った熊本では牛深、天草の海を相手に、地元の魚の味に親しんだそうです。

やがてエンジニアを目指し、大学は工学部へ進んだ甲斐さん。そこで思いがけず「魚熱」が再燃。仲間同士で釣ってきた魚をなんでも捌ける甲斐さんは、宴会に欠かせない貴重な存在として人気者に。
「そのせいでプラス2年間、学校へ行きました」

 

豊かな海なのに、しらす丼しか食べられてない

居心地の良さと海が気に入って、都内から湘南へ引っ越してきた甲斐さん。
「湘南は豊かな海で、おいしい地魚がたくさんある。でも、地元では、どうやらあまり食べてないらしいぞ、という情報が入ってきて…」
たしかに、湘南といえば名物は「しらす丼」。「お刺身定食」にはマグロ、サーモン、タコが。

「ん?地魚ないじゃん」という違和感からスタートした今の活動。
積極的に湘南の地魚を紹介し、たくさん食べてもらっておいしさを知ってほしい。大好きな海のおいしい「未利用」の資源を無駄にしたくない、という甲斐さんの強い思いが感じられます。


その日出会った地魚を、おいしくいただきます

先日湘南T-SITEで開催した夏休みイベントでは、参加した親子がいっしょに、地魚を使ったお寿司を握りました。

 

目の前の切り身ではなく、その魚の姿を見てほしい


甲斐さんおすすめのナガニシガイ。お造りでいただいた貝の身は甘くおいしかったです

魚の苦手克服にいい方法、何かありますか?と質問してみました。

「ひとつ思い当たるのは、魚が苦手っていう子どもが、キャンプで川に放流したアユとかヤマメを掴み取りして串に刺して焼くと、食べるんですよ。
自分が関わったことで、っていうのもあるけど、食べない理由は、目の前のこれ(切り身)しか見てないからです。
ここに来るまでの魚の姿があって、どういう人が獲っていて、そんなことを知っていくと食べる」


お魚の姿をきっかけに、甲斐さんのお話が聞けます

それ以外にも、五感から入ってくる情報が少なすぎるんじゃないかと甲斐さんは言います。
「たとえば鰯だったら、獲って3日も経つと臭いじゃないですか。それだけでもう魚嫌い、って。それが魚体験の全てになってしまう。あまりにも出会いが少ないのかもしれないですね」

畑で獲れたての野菜を、子どもたちがびっくりするほどよく食べるという話はよく聞きます。
魚も野菜も「苦手」なんじゃなく、味覚が敏感なのに、いい出会いがあまりできていないのかもしれないですね。

甲斐さんが親子料理イベントの時に出す「あら汁」が、子どもたちには大人気だそう。
「地元の、小さい魚の頭とか集めてとった出汁で。まだ喋らないくらいの子どもが競ってお代わりしますよ」

最近ではテーブルの上だけでなく、そこに至るまでのお魚の物語を知ってもらうためのツアーも始めているそうで、片瀬の漁港へ行きたいという人とは、朝から一緒に行っているのだとか。

 


漁港に足繁く通う甲斐さんに、今では漁師の方から「次何獲ってこようか?」と聞いてくるそうです

豊かな食卓に少しでも近づけていきたい、そんな甲斐さんの思いをおすそ分けいただきました。


お店の定番メニューから「魚みそポテサラ」

ご家庭では、のりの佃煮で手軽に作れますよ。

材料(4人分)

★茹でじゃがいも 300g
★魚みそ 100g(のりの佃煮なら、30g)
★マヨネーズ 40g
★塩こしょう 少々
茹でむき枝豆(色みとして) 40g
黒七味(お好みで) 少々
  1. ★の材料を合わせて混ぜる。
  2. お皿に高く盛りつける。
  3. 枝豆と黒七味をトッピングする。

完成!

 
Kai’s Kitchen/甲斐昴成(かい・こうせい)
幼いころから大の釣り好き、魚好き、料理好き。都内の魚料理店や魚屋で料理長や魚料理の監修・コンサルティングをしながら、各産地の漁師たちとの交流を深める。豊かな地魚との出会いに導かれ、2016年湘南に移住。辻堂「TOASTED」で、金・土曜日の夜限定「Kai’s Kitchen ~辻堂 大人のお魚ダイニング~」をスタート。さらに湘南でお魚料理のワークショップを展開、地魚とのおいしい出会いを提案中。
Kai’s Kitchen http://kais-kitchen.shop/

 

撮影協力:TOASTED
神奈川県藤沢市辻堂西海岸1-9-1

 


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