旬の人
2016/10/27

笠原 将弘さん 「しょっぱい日も薄い日もあるから、家庭料理は飽きないんだよ」

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Kit Oisixがスタートした3年前の最初のメニュー「漬けさばのぶどうおろし」からご一緒させていただいている笠原さん。


こちらが最初の笠原さんKitメニュー

細部にはっとするような組み合わせや味の発見があって、食べた人、そして作った人の記憶にいつまでも深く残るのが笠原さんのお料理。

慌ただしい日常の中でついつい埋もれがちな「三食」を作っている主婦のみなさんにとって、笠原さんのKitメニューは期待を裏切らない安定のおいしさと、どこかに新鮮味があり、レパートリーの幅が広がる内容が好評です。

「こんなふうに魚を食べてほしかった」
「子どもが野菜をたくさん食べてくれた」
「家族に大好評でした!」
といったお声、さらに
「お米に柑橘を合わせるなんて新発見」
「作るたびに、色々と発想が学べる」
「ふだんしない味付けですが、参考になりました」
と、前向きにお料理されているお客さまからのお声がたくさん届きます。

つくづく笠原さんのKitが、お料理のモチベーションになっていると感じさせられますが、Kitでの取組みについて笠原さんが感じられていること、また笠原さんの「和定食」にチャレンジしていくお母さんたちが増えていくことについて、期待されていることはありますか?

和食は、あたりまえに食べさせなきゃいけない

「たしかに、日本人は自分の国の料理をあまりにも食べなさすぎでよくないなと思ってる。
“和食の給食をもっと増やしましょう”っていう、小学校給食の委員をやっているので、小学校に出向くことも多いけど、『朝、何食べてきた?』って子どもたちに聞くとたいてい『パン』っていうでしょう。 で、学校の給食もなんだか洋食みたいなものが出る。で、家帰ってお母さんが晩にパスタ、なんていったらね、一日に一回もお米食べないわけだから」

「ほかの国の料理が悪いってわけじゃないんだけど、『和食ブーム』だとかいってるくせに食べなさすぎて、これっておかしい。
そもそも、自分の国の料理に『ブーム』ってつけてるって日本くらいだよね。中国では今、中華料理がブームです、なんて言わないし。イタリア人がイタリア料理ブームとか言わない。
それは、当たり前に食べさせなきゃいけない。
日本人はそこがあまりにも恵まれすぎてて、ちょっと感覚が麻痺してるところがあるよね」

「やっぱり僕たちの親世代が、みんな体が丈夫で、戦後のあんなところから超スピーディーに復興したのは、和食を食べてたからだと思うんですよ。 ちゃんと白いごはんに味噌汁に、そんなすごい豪勢なものじゃないけど骨付きの魚や、その時季のお野菜を並べて、そういうのが僕はよかったんじゃないかと」

たしかに、朝ごはんがパン食だと、お子さんがお昼まで持たないという話もききますね。

「ごはんは腹持ちがいいし、ごはんをちゃんと食べてたからこそ、ここまで来れたって思いますよ。炭水化物抜きダイエットなんて言っちゃあだめですよ(笑)」

この秋冬の新しい笠原さんKitメニューも、白いごはんがどんどん進むおかずばかり。和食率がお客さまの中で上がって行ってくれるといいですよね。
忙しい中でも前向きに毎日家族のごはんを作りたくなるようなアドバイスをお願いしました。


新作の笠原さんKitメニュー「笠原流 こんがり白山鶏のすき煮風/ぷちぷちたらこ入り もやしっ子」

昔のお母さんだって、手抜きの日があったと思う

「結局毎日やることだから、毎日やりたくなるぐらいのことでいい。
無理に、気合い入れてやるから疲れる。
がんばりすぎない。
昔のお母さんだってね、すっごい手抜きの日があったと思う。
あとね、みんな今レシピばっかり見て作ってる。
もう、レシピがないと作れないとか言ってるけど、昔うちのおふくろとかおばあちゃん、『大さじ』なんて使ってなかったと思うし、カップ何ccなんて、ぜったい量ってないんですよ。
だから、ちょっとしょっぱい日があったり、薄い日があったり。
でもそれでいいと思いますよ、家庭の料理は。だから毎日食べても食べ飽きないんだと思う」

「吉野家だっておいしいけど、一週間続けて食べたら飽きるもん。自分で実験してみたけど(笑)。
あまりにも味が平均的すぎて。
だからそれぐらいに、気軽にね」

「和食って、なんか難しいっていうでしょ。それも意味が分からない。
僕からすればイタリアンとかフレンチのほうが難しいと思うよ。
それはやっぱり日本人のDNAでさ、ぜったい出汁飲んだらうまいとか、醤油の焦げた臭いをいい香りって感じる部分があるわけだから、そんなにハードルが高いことじゃないと思うんだよね。 それをお店の懐石料理みたいにイメージして、うまく出汁がとれないとか。最初から自分でハードルを高くして、おっくうにしちゃってる。 別に出汁取らなくていい料理だっていっぱいあるんだし、自分の国の料理なんだからもっと気軽にやったらいい。

一汁三菜ってよく言いますよね。でも、昔なんか一汁一菜くらいだったと思う。
ごはんをおいしく炊いてさ、ちょっと具にお野菜たっぷり入った味噌汁を作ったら、もうあとはおいしそうな鮭売ってましたって、ただ焼くだけでいい。それになんとなく、昔の家はなんとなく漬けてある漬物があったりとか、豆腐屋が豆腐売りに来たから買って冷奴でも添えようとか、多めに作った前の日の煮物があったりとか、それでたぶん賑やかになってたんだと思いますよ。

それをなんか全部、“今日も三品作らなきゃ!”ってなるから面倒くさくなる。煮物なんか多めに作ったら、二日三日それでいけるから。
そういうふうにしていったら僕はいいと思う。あとは冷奴とか納豆とか。パッと出せるもので」

きっと、作るほうも「きっとうちの子、残り物は食べないんじゃないか」とか、ご主人に「昨日出したあれまた出すと嫌がるかな」とか、気を遣いすぎなところもあるんでしょうね。
昔のほうが、食卓がおおらかだったかもしれませんよね。

「“残り物”っていうからいけないんですよ。『次の日のほうが味がなじんでおいしい』『むしろ今日の方が本番だ!』くらいに言ってほしいね」

なるほど、言い方を変えるだけですごくいいですね。おでんなんか、まさにそうですもんね。

笠原さんといえば、どんなに忙しくても、楽しみに待っているお客様のためには病気にもなれないと以前おっしゃっていて、体調管理に気をつけていらっしゃるんだなあと。

「気をつけてはいないんだけどね」

体調管理に気を付けていないにもかかわらず(笑)、テレビや雑誌、レシピ本など、常にいろんなことに取り組まれていて、タスクがめちゃめちゃいっぱいあってもこなしていけるのはなぜなんでしょう?

「毎日忙しくしていて、風邪ひく暇もない。具合悪くする暇もないくらいにしちゃえばいいんですよ。 まあ、たまにちょっと熱っぽいとかはありますよ。でも店に穴開けたことは一回もない。ちょっと元気ないくらいで、ぜったい仕事してる、この12年間。 気の持ちよう。だいじょうぶ。気づかないふりで乗り越えた(笑)」

そんな姿を見ているお子さんたちからは「働きすぎじゃない?」「ちょっと休めば」と言われることもあるそうです。
前述のように小学校の給食に関わったり、お子さん向けのレシピも出版されている笠原さん。忙しい中で、お子さんと食卓を囲む時間はあるのでしょうか。

「休みの日、あまり家でまで料理したくないから外に食べに行くこともあるけど、どんなに忙しくても、月に何度かは夕ごはんをいっしょに食べるようにはしてますよ。あまりにも家にいないからね」

そして三人のお子さんたちの晴れの日、運動会のお弁当だけは、どんなに忙しくても小学校時代からずっと作り続けてきたそうです。

「親ばかって言われるかもしれないけど、肉が食べたいって言われれば、お店で出すようなすっごいいいサーロインだとか、焼き鳥の手羽とか。ふぐの唐揚げだとか、あわびの煮たのだとか。 職権乱用だよね。海老フライも活けの車海老とか。まあ、年に一回だからね(笑)。
でも、それもこの秋が最後ですよ、いちばん下の長男が小学校6年だから」

ちなみに笠原さんご自身にとっての「懐かしの味」といえば?

「それはもう親父の、自分の家の店のあまりものとかが多かったらね。あとは高校のときに作っておいてくれた弁当ですね。だから、いわゆるおふくろの味ではなくて“おやじの味”。おふくろの味は、(Kitになってる)カレーと、おでんくらいかな」

「親父が作っていたから、小学校のときでも弁当のおかずはとにかく渋かったですよ。銀だらの西京焼きだとか。子どもっぽくないメニューばかり。おいしかったけどね。 ハンバーグにケチャップ、とかはなくて(笑)
鶏のつくねの焼いたのとかね。鶏の唐揚げは出たけど、それもポン酢で味付けしてあったり、ふつうではなかったね」

ある意味英才教育を施されていたということでしょうか。

お店のブランディング力や、プロデュース力、タイムマネジメントのスキルなど、いろいろな才能をお持ちだと思うんですけど、その中でも「これは自信がある!」というのがあったら教えてください。

「何だろう…無駄が嫌いだから“効率はいい”かな。仕事の、質はともかく量はこなせる自信がある。スピード感。雑誌の撮影とかもめっちゃ早いですよ。レシピ本の撮影でもたいてい編集部、カメラマンさんに驚かれる」

もし笠原さんご自身でKitOisixを使って作ったら、20分どころか10分でできちゃうかもしれないですね。

「店の若いのが何か持っていって、帰りに手ぶらでうろうろしてるのが嫌い。何か持っていって、何か持って帰ってくれば一往復で済むでしょ。 全部うちのおやじや、板前修業時代の師匠が言ってたことなんだけどね。

料理でも、一回お湯を沸かしたらどういけばこれを使い回せるか考える。常にそんなことばかり考えてる。この順番で茹でればひとつの鍋で済むなとか、茹でたあとのお湯だってなにか洗うのに使えないかなとか。 氷水でもさ、さっくりクリーム泡立てるのに氷水必要だけど、水をボウルごと冷凍庫で冷やしておこうとか。そういうのを考えるのが好きだね。で、使い終わった氷水をすぐ捨てるやつには怒る、なにかに使えよって」

段取りの先生としても1冊書けそうですよね。

「洗い物でも、出すから洗い物が増えるわけで、俺だったらパックの豚肉切ったらまたパックに戻すね。バットとかに移したりしない。すぐやるならラップもしなくていい。 そういうのはちょっと人よりはすごいかな(笑)」

その方面の才能も放っとかれないので、今後はそういう新刊にも期待しましょう!

(取材・文・写真)VegeTable編集部

 


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